【オリジナル取材】ビルキン主演映画『おばあちゃんと僕の約束』6/13公開記念舞台挨拶で監督が来日! 「ビルキンはいたずら好きで甘え上手」

タイを代表する俳優で歌手のビルキン主演映画『おばあちゃんと僕の約束』が2025613日(金)より公開されることが決定! 528日、新宿ピカデリーにて公開記念舞台挨拶が行われ、監督のパット・ブーンニティパットが登壇した。

本作は祖母と孫を中心に、三世代が織りなす、どこにでもいる家族の物語。中華系タイ人の暮らしを舞台に、バンコクの古い街並みが残る風景を背景に描かれる。遺産目当てという不純な動機から住み込みでおばあちゃんのお世話を始めた孫が、やがて家族の本当の価値、人とのつながりの大切さに気づいていく、そんな心温まるストーリーが展開する。

2024年にタイで公開されると、口コミが瞬く間に広がり、号泣する観客の姿がSNSで大拡散し2024 年最高のオープニング成績を記録。社会現象にまで発展し、年間第2位、タイの歴代興行収入ランキング12位にランクインするなど、驚異的なヒットを記録した。さらに、その感動はアジアを中心に世界中にも広がり、第97回アカデミー賞®国際長編映画部門のタイ代表として、タイ映画として初めてショートリスト入りを果たす快挙を達成。アメリカ映画批評サイトRotten Tomatoesでは「こんなに泣いたのは初めて。絶対に観るべき、全てが完璧な映画」と絶賛され、98 点を獲得(2025/5/16 現在)。その感動に惚れ込んだハリウッドの映画スタジオ、MIRAMAX が英語版リメイク権も獲得するなど快進撃は止まらず、タイ映画の歴史を塗り替えている。

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主演は、タイを代表する俳優で歌手のビルキンことプッティポン・アッサラッタナクン。世界中で大反響を呼んだBLドラマ「I Told Sunset About You ~僕の愛を君の心で訳して~」(20)で盟友であるピーピー(クリット・アンムアイデーチャコーン)とW主演を務め、大ブレイク。ビルキンは歌手としても人気を博し、日本でもCDデビューを果たし、単独公演や音楽フェスへの出演でも注目を浴びている。

映画上映後に行われた舞台挨拶に登場したパット・ブーンニティパット監督は、「こんばんは。私はパットです。監督です。よろしくお願いします」と日本語であいさつし、客席からは温かい拍手が送られた。

世界中の人々が共感していることについて感想を求められると、監督は「この映画は初めての監督作品なのですが、自分では最初で最後のつもりで制作しました。理由は、タイでは家族のドラマはウケない、儲からないとも言われていて、せめて赤字を出さないで次の作品が撮れる程度になればいいなという気持ちでした」と当初の正直な思いを振り返った。

監督は、作品に込めた思いについて、「実はこれまでテレビドラマを作ってきたんですけど、テレビドラマは毎分ごとに視聴者にずっと集中してもらわないとならない構成なんです。ですので、映画とは違うタイプの芸術だと感じていました。今回の映画では、観客の皆さんに自分の記憶と重ね合わせてもらえるような、余白のある作品にしたいと思いました」と語った。

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本作の原題は「Lahn Mah」だが、日本では邦題を決める試写会イベントが開催されていた。邦題について聞かれると、「私は日本語を少し勉強しています」、日本のタイトルが決まった時に、そんなに難しい単語を使っていなかったので、自分で読むことができました。すごく深い意味ですし、心に響いてとても嬉しいです」と微笑んだ。

この日の会場には、たくさんのビルキンのファンが駆けつけ、あたたかな熱気に包まれていた。ビルキンとの撮影中のエピソードについて、監督は「ビルキンはスタッフをからかうのが大好きで、よくくすぐったり邪魔をしたり、腕をマッサージしたりして甘え上手なんです。それでも演技になるととても一生懸命でとても好感を持ちました」と当時を振り返った。

本作のエンドロールで流れるテーマ曲「Ever-Forever」はビルキンが自ら書き下ろした一曲。実は当初、彼に歌ってもらう予定はなかったという。監督は「最初は歌ってもらうことは計画になかったのですが、彼は美しい声を持っているので、歌ってもらわないのはもったいないなと思いました。実際に曲を作ることになってからは、メロディができたよとか歌詞ができたよとか細かく報告してくれました」と語った。ビルキンの誠実な姿勢と音楽への思いが感じられる。

祖母メンジュ役のウサー・セームカムは 、なんと78 歳にして本作が長編映画初出演。驚きのキャスティングの裏には、ちょっとした偶然があったという。監督は「ラッキーなことに、助監督がウサーさんとMVを撮ったことがあるんです。MVでは特に何もしていなくて、立ってタバコを吸っているだけだったのですが、すごく興味のある外見をしているし、良さそうだなと思ってオーディションに来てもらいました。ウサーさんに演じてもらったらすごく才能のある方だったので、ラッキーだと思いました」と振り返った。

脚本を書く時は、彼自身の祖母としばらく一緒に過ごしていたそうだ。監督は「脚本を書いていた時、あまり内容が良くなかったのですが、おばあちゃんと同居をし始めて、映画のことを何も言わないでいろいろと質問していきました。例えば、こんな子供や孫がいたらどう思うかどうか聞いていき、その意見を聞くことによって映画にリアリティが出ると思いました。ですので、映画のクレジットに私のおばあちゃんの名前も入れるべきなのかなと思いました」と笑顔を交えて明かした。

彼の祖母は完成披露試写会の日に観覧したと話す監督。彼は「私は真ん中の席で見ていて、おばあちゃんは後方の席で観ていました。映画が始まったのが20時だったのですが、普段ならおばあちゃんは寝ている時間です。なので、映画を観て寝ちゃったかなと思ったので、上映が終わった瞬間に後ろの席に走っていって、寝てなかったか確認しました。そしたら、最後まで寝ないで観ていたみたいです。携帯電話を出して動画を回しながら、映画の感想を聞いたら、答えは普通と言って歩いて行っちゃいました。翌朝、おばあちゃんが僕のところに来て、映画は普通だった。私の人生のほうがもっと大変だよって言っていたので、そういう見方もあるんだなと思い感動しました」と、ほっこりするエピソードを語ってくれた。

監督は日本の監督のファンでもあり、小津安二郎や是枝裕和、濱口竜介氏の作品をチェックしているそうだ。中でもお気に入りの作品を聞かれると、監督は「選ぶのは難しいのですが、初めて見た映画は『東京物語』で、その映画を見たときにとても昔の映画なのに、映画のストーリーのパワーというのは、時間や映像制作のテクニックを超えると思いました。すごく丁寧にストーリーを描いていて、3人とも魅力。3人の作品をしっかり見て、研究しました」と語った。

最後に監督は「この映画は世界中のいろいろな国で上映されてきました。聞いた話によると、観客には56歳のお子さんから90歳以上の方までがこの映画を見てくださって、この映画を好きになってくれたとのことでした。タイ映画はもしかしたらまだ目新しいかもしれませんが、ここまで旅をしてきたので、この国の皆さんもこの映画を観たら好きになってもらえるのではないかなと思います。ぜひご覧ください」と、温かい眼差しで語った。

 

取材・テキスト・写真:Zackey

 

『おばあちゃんと僕の約束』

613()より新宿ピカデリーほか全国順次公開

STORY

大学を中退してゲーム実況者を目指す青年エム。従妹のムイが祖父から豪邸を相続したと聞き、自分も楽をして暮らしたいと画策。彼にはお粥を売って生計を立てている一人暮らしの祖母メンジュがおり、ある日、ステージ4のガンに侵されていることが判明。エムはメンジュに近づいて相続を得ようとするが、メンジュと一緒に過ごすうちに、エムの気持ちが次第に変化していく……

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監督・脚本:パット・ブーンニティパット(TV版「バッド・ジーニアス」) 脚本:トッサポン・ティップティンナコーン

製作:ワンルディー・ポンシティサック ジラ・マリクン 音楽:ジャイテープ・ラーロンジャイ

撮影:ブンヤヌット・グライトーン 編集:タマラット・スメートスパチョーク

出演:プッティポン・アッサラッタナクン(ビルキン) ウサー・セームカム サンヤー・クナーコン

サリンラット・トーマス(『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』) ポンサトーン・ジョンウィラート トンタワン・タンティウェーチャクン

2024/126/タイ/原題:Lahn Mah/カラー/5.1ch/1.851

日本語字幕:小河恵理 後援:タイ国政府観光庁 配給:アンプラグド

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